大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和27(あ)1697 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人平岡孝輔の上告趣意について。

所論は、被告人の精神鑑定を被告人も又弁護人も要請しているのに第一、二審共

これを拒んでいるのは、人権を重んずる憲法の違反と考えるというのであつて、結

局事実審又は事後審裁判所の裁量に属する証拠調の範囲、限度を非難するに帰し、

刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、裁判所が被告人の公判廷に渇ける供

述、その態度、訴訟記録等により被告人に精神の異状はないと認めた以上は、こと

さら精神鑑定を命ずる必要のないことについては当裁判所大法廷判決、判例集四巻

六号一〇四五頁以下、同二巻一二号一五八八頁以下参照)

被告人本人の上告趣意について。

所論は、被告人が本件犯行当時精神異状者であつて、殺意がなかつたのに、医学

上の立場より専門家の精神鑑定を願つたのにかゝわらずこれを却下したことを非難

し、且つ、刑一等を減じ寛大なお取計らいをお願するというに帰し、事案誤認、単

なる訴訟法違反及び量刑不当の主張を出でないものと認められるから、刑訴四〇五

条の上告理由に当らない。そして、記録を精査しても同四一一条を適用すべきもの

とも認めることはできない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で

主文のとおり決定する。

昭和二八年二月一二日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

- 1 -

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!